The Moment of Encounter

ニュウマン新宿に掲出されたMaison de Clederobeのヴィジュアル。黒のトートバッグと店名、会期が記されている

ものが、人と出会うとき。
前回のコラムでは、一つのバッグが生まれるまでの静かな時間をご紹介しました。
選び抜かれたレザーとの出会いから始まり、職人の手によって検品され、裁断され、少しずつ輪郭を帯びていく。表には見えないその過程に、メゾンドクレドローブのものづくりは長く支えられてきました。
けれど、ものの物語は、工房で完成したところで終わるものではないのかもしれません。本当に完結を迎えるのは、そのバッグが誰かの手に渡り、誰かの日常のなかに寄り添い始めたとき。そう思うと、バッグたちがはじめてお客様と出会う瞬間は、ものづくりと同じくらい大切な、もうひとつの「はじまり」なのだと、この度あらためて感じることになりました。

Maison de Clederobe POP UPの店内。大理石の壁に店名が記され、ディスプレイとチェアが静かに並ぶ

すべては、お客様との出会いから

メゾンドクレドローブは、ブランドとして初めてとなるPOP UP STOREを、新宿・ニュウマンにて期間限定で開催しました。これまでWEBSTOREの画面の向こうでお客様とつながっていたバッグたちが、実際の店頭に並ぶ。それは、ブランドにとって、そして完成したバッグたちにとっての、はじめての「出会いの場」となりました。

木のチェアに置かれた、限定色BROWNのレザートート「Clé」

人気の「Clé」が纏う、限定色<BROWN>

会場を彩ったのは、先行予約でご好評をいただいた「Clé(クレ)」と「L'essentiel(レサンシエル)」のシリーズ。今回のPOP UPのために特別に仕立てた限定カラー<BROWN>は、温かみのある深い色合いで、会場にやわらかな季節の気配を添えていました。WEB STOREの定番色とはまた違う、この場所でしか出会えない特別な一色。数量限定というその貴重さもまた、会場ならではの空気を生んでいたように思います。

店内の白い台に置かれたバッグと、壁面ヴィジュアルに映る来場者

ものづくりを、はじめて「語る」時間

このPOP UPは、同時に、私たちにとっての「はじめて」の連続でもありました。初めて直接お客様とお話しする機会。つくる側として届けてきたバッグの魅力を、素材のことを、細部に宿るこだわりのことを、目の前のお客様と静かに交わす時間。画面の向こうではなかなかお伝えしきれなかった「手の届く上質」の想いを、言葉にしてお伝えできたことは、何ものにも代えがたい経験となりました。お客様のひと声ひと声が、ものづくりを続けてきた意味を、優しく確かめてくださっていたように思います。

スエードのボストンバッグと、黒のスムースレザーバッグ ゴールドのバーディテールが印象的なハンドバッグ 会場を彩る白い花とグリーンのフラワーアレンジメント Maison de Clederobeの黒とキャメルのレザーウォレット

見て、触れて、体感する

そして何より嬉しかったのは、ひとつひとつのバッグをお客様の手に触れていただけたこと。革の質感、手にしたときの軽やかさ、しなやかさ——写真や画面ではお伝えしきれない「バッグそのものの空気」を、実際にご覧いただき、お確かめいただけたこと。初めてお客様の手に渡る瞬間、バッグたちは、職人のもとを旅立ったときよりも、少しだけ輝いて見えました。

赤い壁にフックで飾られた、黒とアイボリーのショルダーバッグ

出会いは、これからのものづくりへ

会期中に店頭で交わした言葉、バッグを見つめる眼差し、手に取っていただいた瞬間の空気。その一つひとつは、ものづくりを続ける私たちにとって、何よりも確かな手応えとなり、心に深く残っています。バッグが完成するのは、工房ではなく、お客様の手のひらの上なのかもしれない。そう気づかせてくれた、初めてのPOP UP STOREは、メゾンドクレドローブにとって忘れられない一歩となりました。

木のチェアに置かれたショルダーバッグと、赤い壁に飾られたバッグたち
ゴールドの留め具がアクセントのハーフムーン型ミニバッグ グリーンの植物の前に置かれた黒のドローストリングポーチ メッシュ素材のツイストハンドルバッグ 白い台に置かれた黒のレザートートバッグ
白い台に並ぶ、黒とゼブラ柄のバケットバッグ