Inside Story

Stories born through the process of making.
Timeless pieces created by Chaos.
Uncovering the reasons they are loved.

#001

Mayuko Kishimoto

Freelance Writer

Silsha Series “Set-up”

ものづくりを通して生まれるストーリー。
Chaosが生み出す名品。
その愛される理由を紐解きます。

#001 岸本真由子 / フリーランスライター

社会人になり、“上質な服を纏いたい”と思い始めた頃、真っ先に手に取ったブランドが「カオス」だった。

肌に触れるたびに心地よいと感じる素材、どんなスタイリングにもすっと溶け込むカラーリング。ベーシックでありながら、さりげなく差がつくように計算されたディテール。その絶妙なバランスに、当時の私はすっかり魅了された。

洋服はただ着るものではなく、自分の背中を押してくれる存在でもあることに気づいたのは、カオスに出会えたからだ。

28歳になった今でも、自信を高めたいときや、大切な予定を控えているときには、カオスの店舗にふらりと立ち寄る。ラックをひとつずつ眺めながら、気になる服を手に取っては生地を触り、鏡の前で合わせてみる。そんな時間が、いつの間にか自分にとっての小さなご褒美になっていた。

昨夏出会った「シルシャーシリーズ」のセットアップも、そんな思い出深い一着だ。

見た目の美しさに心を奪われたのはもちろんだが、この服は私にとって特別な意味を持っている。

その年の秋、私はハワイでの結婚式を控えていた。人生でこんなにも自分に厳しく向き合ったことはあっただろうか、と思うほどダイエットに励んだ時期だった。食事を見直し、運動をして、鏡の前で体の変化を確認する日々。コンプレックスだったむっちりした二の腕も、徐々に変化が見えてきた頃だった。

そんなタイミングで、このセットアップに出会った。

これまで何度も敬遠してきたノースリーブ。「こんな腕で着るなんて、素敵な服への冒涜だ」なんて、少し大げさに思いながら。

でもその時は、「今の私なら、着てみてもいいかもしれない」と思えることができた。このセットアップは、そんな私のちょっとした成功体験を証明してくれる存在でもある。

シルシャーシリーズに使われているのは、ウォッシャブルシルク。思わず頬ずりしたくなるような柔らかな肌触りと、上品な光沢が印象的だ。シルク特有のとろみある質感は、ただ身に纏うだけで洗練された雰囲気が漂う。

それでいてストレッチ性があり、速乾性にも優れていて、手洗いも可能。リッチな見た目からは想像できないほど、実用面でも優秀だ。

滝汗をかくような猛暑日にもこのシリーズを着ていたが、汗染みはほとんど気にならなかった。家で何度洗濯しても色の深みは変わらず、生地の光沢感も維持され続けたことに感動したのを覚えている。

前後のUネックは、やや深あきでセンシュアル。顔周りをすっきり見せてくれ、インナーとのレイヤードも楽しい。白や黒のバンドゥを合わせるだけでも印象が変わるし、ほんのり色を差して遊ぶのもいい。

裾に向かってゆるやかに広がるセミフレアのシルエットは、体の華奢見えにもひと役買ってくれる。ふわりと揺れる軽やかなヘムラインのおかげで、これまでトップスイン一辺倒だった私のスタイリングにも変化が生まれた。裾はあえてアウトして、リラクシーに着るバランスが心地いい。30歳を目前とした今、肩の力を抜いたおしゃれも自分らしさとして楽しめるようになってきた。

そしてパンツもまた、驚くほど優秀だ。

もも張り体型の私は薄手で柔らかいパンツに苦手意識があり、これまであまり挑戦してこなかった。脚のラインを拾いそうで、どこか避けてしまっていたのだ。

でも、この一本は違った。

肉感を感じさせない落ち感と、ほどよくゆとりのあるわたり幅がありがたい。膝から裾にかけてほんのりフレアになっていることで、想像以上に脚長に見える。「あれ、痩せた?」なんて嬉しい錯覚まで起こしてしまうほど。

フリーサイズのみという潔さには少し驚いたけれど、試着してみると身長168cmの私でもくるぶしにかかるくらいの丈でちょうどいい。ヒールでもスニーカーでもバランスよく決まるし、「今日はゆるっと着たいな」なんて日は腰位置を落としてはくこともできる。快適で、着こなしの融通まで利かせてくれるウエストゴムって本当に素晴らしい!

そういえば、このセットアップを購入したのは、憧れてやまない女性の一人であるグラフィックデザイナー・夏目頌子さんと訪れた展示会だった。私がライティングを担当しているファッション誌の読者モデルでもある。

どんな服も軽やかに着こなす頌子さん。その日も次々と袖を通すカオスの服があまりにも似合っていて、思わず見惚れてしまった。

彼女がこのセットアップのブラックを試着した瞬間、その美しさに思わず「私も買います」と口にしていた。憧れの人と同じ一着を手にできたことが、どこか誇らしく、背筋が伸びるような気持ちにもなった。
そんな頌子さんに勧めてもらったブラウンは、カオスならではの上品なニュアンスカラー。こっくりとした深みがありながらも重たくならず、夏の軽やかな装いにすっとなじむ。

もちろん、ハワイにもこのセットアップを連れていった。10月とはいえ、日中はまだ灼熱。肌離れのいい生地がとにかく心地よく、何着も持っていった服をよそに、現地ではこのシルシャーシリーズばかり手に取っていた。深めにあいたUネックから水着を覗かせた、リゾート地ならではのレイヤードコーデもめいっぱいに楽しんだ。

袖を通すたび、あの眩しい日差しや、胸いっぱいに広がった旅の高揚感までふっと蘇る。

昨シーズンはシンプルに着ることが多かった分、今年はほんの少しだけアレンジも楽しんでみたい。大ぶりのロングネックレスを重ねたり、トレンドのスカーフを巻きつけてみたり。

小さな変化を加えるだけで、同じ服でもまた違った表情を見せてくれるから不思議だ。ミニマルな服だからこそ、着る人の個性が自然とにじむ。そんな変化を楽しめる余白も、このシルシャーシリーズの魅力に違いない。

話は戻り、早いもので結婚式から半年が経った。あれだけ絞った体も徐々に緩みつつあるが、腕も脚もほっそり見せてくれるこのセットアップがあるから心強い。

とはいえ、その優しさに甘えてばかりもいられない。肌見せを楽しむ夏に向けて、そろそろサボり続けていた筋トレを再開しようとも思う…。

岸本真由子 / フリーランスライター

学生時代よりファッション誌の編集アシスタントやライターとして活動。新卒でアパレル会社に入社後、フリーライターに転身し、ファッション誌「CLASSY.」「VERY」で執筆を行う。私生活では、2年前に海好きの夫と移り住んだ鎌倉ライフを満喫中。

Blouson/¥75,900
BUY
Tops/¥28,600
BUY
Pants/¥36,300
BUY
Tops/¥28,600
BUY
Pants/¥36,300
BUY
Skirt/¥33,000
BUY