環境や立場が変わっても、自分の中に普遍的に持ち続けている気持ちがある。
自分に素直に、まわりと自然に向き合う彼らの“心地よい暮らし”を送るために、大切にしていることとは ―

― 都内を離れ、鎌倉に生活の拠点を移したのは、なにかきっかけがあったのですか?

結婚する前から夫は海の近くに家を建てたいという話しをしていました。ただ、東京の生活も長かったですし、私は海なし県生まれということもあり、あまりリアルに想像はできていなかったですね。土地を探してはいましたが、ある日急に夫が「理想の物件と出会った!」と買ってきちゃったんです。笑

― 鎌倉に移ってからどのくらい経ちますか?

ちょうど半年くらいです。子供が生まれてすぐの引っ越しだったので本当にバタバタでしたが、だいぶ落ち着きました。

― 住む場所だけでなく出産も経験され、家族も増えてかなり大きな変化でしたね。

そうなんです。はじめての土地だし、友達もほとんどいない。これからどうなるんだろうと思いました。でも、私にとっても家族にとっても、とてもいい変化だったと感じています。引っ越したことで生活も思考もシンプルになりました。例えば、明るくなったら起きる。暗くなったら家に帰るというように自然に合わせた行動パターンが変わってきました。海の近くに住むことは天候の影響を多く受けることも多いですが、自然の中に住まわせてもらっているという感覚にもなりますし、自然に感謝する気持ちが深くなります。よく近くの海辺に夕陽が沈むのを眺めに行くのですが、なんて豊かな時間なんだろうって。
子供が生まれたばかりということもありますが家で過ごす時間が増えました。家を丁寧に整えることで気持ちも整い外食も減り、丁寧に時間をかけて食事を作るということも楽しめるようになりました。夫も仕事にメリハリがつくようになったと言っています。オンとオフの区別がつきやすいようです。

― ヨガとの出会いはいつですか?

20代後半、アパレル会社のPRを辞めて自分でアクセサリーのブランドを立ち上げました。デザインするという楽しい作業の反面、在庫管理や財務などに追われて疲れていて、仕事の後は夜遊びばかりしていて、仕事も恋愛も悩みとストレスばかりでした。そんな時スポーツクラブのレッスンでヨガに出会いました。パワーヨガ全盛期だったので、激しいエクササイズ的なヨガを習っていたのですが、始めた途端にその開放感にびっくり!いろいろなしがらみから解き放たれ、自分を客観的に見ることもできました。以来すっかりハマってしまったんです。アパレル業界って先のことを考えて動きますよね。ヨガは今ここにいる自分を見つめることから始まります。そして、今ここで呼吸をしている自分を十二分に味わう。これが本当に新鮮でした。さらにヨガを深めて行きたいという気持ちが強くなりました。当時はなかなか学べるところがなかったので教える側になるつもりではなかったのですが、指導者になる学校に通うことにしたんです。

― さやかさんはヨガのポーズを教えるだけでなく、もっと深いところにある心をも健康にするためにヨガライフアドバイザーという肩書きで活動をしていますよね。これは、具体的にはどういう取り組みですか?

私にとってヨガはライフスタイルであり、ワークスタイル。ヨガといえば身体の柔軟性を必要とするポーズというイメージが大きいと思いますがそれだけではなく、ヨガの哲学にも大きな魅力があります。生徒さんには心と身体のヘルシーライフを目指してもらえるように、ヨガの哲学をわかりやすく実生活に取り入れられるように噛み砕いて伝えています。クラスを持つだけでなく、コラムを書かせてもらったりもしています。ここに至ったのはヨガのポーズを教えるだけでなく、もっと自分には何ができるのか、何を伝えたいのかを考えたからです。ヨガの教えを学んだことで私自身も視点や考え方が大きく変わりました。落ちこんだ時の気持ちの持ち方や、恋愛や仕事における人間関係での悩みを自分の体験を軸として考え方などを伝えられたらと。ポーズを覚えたり、ダイエットのためのヨガだけでなく現代女性の心と寄り添い、彼女たちの日々をもっと豊かなものにしていけたらと思っています。

― いつもどんなことを心がけていますか? そして、今後はどのような活動をしていきたいですか?

これはヨガ哲学の中の1つなのですが、「フリ」をするということです。得意ではない人と接する時、苦手だなぁと避けるのは簡単です。でもそこで避けるのではなく、好きという「フリ」をする。継続的に「フリ」をすることで、本当にその人のことが好きになっていきます。自分も人も決めつけずに「フリ」をし続けることで柔軟な考え方や感覚が養われていきます。何事も決めつけない、開いた心から物事を見ることによって、新しい視点が見えてくることもあると思うのです。
ヨガライフアドバイザーとして活動は、自分がインプットしたことをアウトプットしたことで誰かが喜んでくれる。気づきとなってその人の自信へと繋がることもあるかもしれない……なんて素晴らしいんだろう!と感謝しかないですね。これからも自分自身でも新しいことにどんどんチャレンジしながら、書籍やDVDなど幅広い切り口で、全ての女性のために発信していけたらと思っています。

太陽のような渋木さんの笑顔には、全てを受け入れる深さがある。全てに向かって開いているように感じる。それは簡単なことではなく、様々な体験に1つ1つまっすぐに向き合いながら、しっかりと考え、答えを出してきた彼女なりの哲学があるから。あらゆるものをそのまま受け入れるという許容と強さをもっているからこそ、肩の力が抜けた大きな優しさで溢れているのだろう。

渋木さやか

ヨガライフアドバイザー/ヨガ講師
シヴァーナンダヨガ初級/上級者コース取得。伝統的なスタイルでありながら明るく楽しいクラスが人気。定期的にインドに渡り、本場のヨガや哲学、古代インド語を学び続ける本格実力派でもある。
また、ヨガライフアドバイザーとして『心と身体のヘルシーライフ』を提案。特に、女性の心のサポートをモットーに『恋愛とヨガ』をテーマとするコラムを多数連載。その言動は人間関係や恋愛で悩む女性たちから熱い支持を受けている。
Instagram : yoga_citta