環境や立場が変わっても、自分の中に普遍的に持ち続けている気持ちがある。
自分に素直に、まわりと自然に向き合う彼らの“心地よい暮らし”を送るために、大切にしていることとは ―

― フリーヨガインストラクターとしてさまざまなイベントで講師を務める傍ら、フィルムカメラを片手に世界を旅する日々。先日、横須賀にある「かねよ食堂」で自身の写真展を終えた彼女は、また新しい旅への準備を始めた。

来週からアメリカへ行くんです。アトランタから入って、ボストン、そしてNYへと。3ヶ月ほど旅した後は、う〜ん、また違う場所にいるかもしれません。冬の湘南はあんまりやることがないから。

― そういえば、写真展のテーマは「66 days of summer」でしたね。やっぱり夏が好きってことなんでしょうか?

夏が来るのはとても嬉しいんですが、同時に暑すぎたり、湿度が高かったりして、「ああ、早く秋にならないかなあ」と思う瞬間もたくさんある。だけど、夏が終わってしまうと、やっぱりすぐに次の夏を夢見てしまう。そんな独特な感情を表現したいなと思ってこのテーマにしました。しかも、夏の終わりって誰にも決められている訳じゃないのに、日本では海の家がなくなると同時に夏が強制的に終わらされる感じがありますよね。あれも不思議だなあと思って。だから、私の住んでいる逗子の海の営業期間をタイトルにも入れてみました。

― 決められた夏。でもそこにはいろんな風景があるんですね。写真を撮るのは昔から好きだったんですか?

中学生くらいから無意識に写真を撮るのは好きだった気がします。でも旅をしながら写真を撮るようになったのはつい最近。NYへ留学したタイミングです。

― NYへ留学? どんな学校へ行っていたんですか?

5歳からずっとバレエをやっているので、ダンスを学びに行っていました。昔から踊るのが大好きで、中学生の頃には「NYに行ってダンサーになる」と大きな目標を立てていたんです。ダンスはもちろん、それにまつわるカルチャーや音楽など、当時はNYのすべてに憧れていました。そして23歳の時、やっとNYへの留学を決めた時、父が昔のデジカメを手渡してくれたんです。

― NYでの生活はやっぱり刺激的でした?

留学する前から何度も足を運んでいたこともあり、現地には友達もいました。夜はパーティに出かけて、ニューヨーカーの踊りから新しい動きを学んだりと、学校以外の楽しみもいっぱいでした。でも、本格的にダンスを仕事にしようと思うと、遊んではいられない。誰よりも上手くならなければというプレッシャーの中で、ふと「NYには面白いことがいっぱいあるのに、遠い夢のためになんで毎日を犠牲にしなければいけないんだろう…」と思えて。冬の寒いNYの街を歩きながら、今を楽しめてない自分にハッとしたんですよね。

― それからは帰国。ヨガとも出会ったんですよね?

はい。20年もバレエをやっていた反動からか、スタジオに行ってレオタードを着て…っていう決められた形にはまるのが嫌だった。でも身体は動かしたい。そんな時、ビーチでも山でもスタジオでも、どこでもできるヨガの自由さが心地よくて。とはいえ、大きな目標を無くして心がぽっかりしている時期でもあったので、母が「一緒にバリ島いかない?」と誘ってくれて、旅にも出ました。実はそれまでアメリカ以外に行ったことがなかったので、アメリカとはまた違う自由を感じて、「旅が面白い!」と思うようになりました。

― その後、5ヶ月ほどアジアの旅へ出かけたそうですね。

ヨガの勉強も兼ねてインドへ行き、そこからカンボジア、タイ、マレーシア、インドネシアを回りました。旅の最終地点ではヨガを教えながら1ヶ月ほど滞在。その時にロンボク島に行って、地元サーファーにも会いました。

― ヨガを始めて何か変わりました?

以前は競争の中にいたので、他の人より上手くなりたいという感情が強かったのですが、「自分でいること」の大切さを知りました。「目の前に集中する」「自分にどうにもならないことは忘れる」など、ヨガの考え方は毎日の生活に取り入れています。それと同じように、誰かの写真と比べることもありますが、旅する私がいるから、その先にこの風景がある。写真は、自分の人生の流れなんだなと思えるようになりました。

― 写真はもっぱらフィルムですか?

はい。NYで買ったフィルムカメラが気に入って。それからはフィルムのみ。深みのある色合いや現像する時のワクワク感がたまらないです。

NYから帰国後は、3年ほどアメリカと距離を置いていたみゆさん。旅を重ね、広い世界を見ることで、やっとその魅力を純粋に楽しめる余裕ができたという。住んでいる頃は嫌いだった冬のNYへ、今年始めて旅に出る。「夏の湘南と同じように、冬のNYにもその時にしか見れない景色や楽しさがあるんじゃないかな」。今あるものに感謝して生きて行きたい。そう変化した彼女の写真は、大切な時間を誰かと共有する最大の表現ツールなのかもしれない。

深田美佑

横浜生まれ、逗子在住。5歳よりクラシックバレエを始める。英語を独学で習得し、ダンサーになるという夢を実現するため、2012年にNYへ留学。留学中、ガラクタ市でみつけた10$のフィルムカメラで写真を撮り始める。現在はフリーヨガインストラクター、モデル、写真、翻訳、通訳など多方面にわたり活動中。2016年には自信初となる写真展を鎌倉で開催。ヨガworkshopの開催、雑誌へのコラム執筆、Yogi Teaのアンバサダーなど、活動の幅を広げている
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