環境や立場が変わっても、自分の中に普遍的に持ち続けている気持ちがある。
自分に素直に、まわりと自然に向き合う彼らの“心地よい暮らし”を送るために、大切にしていることとは ―

― この夏は、プロデュースされた宮崎・一ツ葉ビーチの「THE BEACH BURGER HOUSE」が話題となりましたが、現在何店舗を手がけていますか?

「THE GREAT BURGER」や「GOOD TOWN DOUGHNUTS」等、ロサンゼルス店も合わせて直営が8店舗、プロデュースが6店舗になりますね。最初は、2002年に原宿・京セラビルの地下で「ease」というカフェをオープンしました。2000年前後というのは、日本にちょうどカフェブームがきたあたり。当時の僕は原宿エリアを中心に様々な飲食店でアルバイトをし、またイタリアンを中心に料理が得意だったこともあり、24歳で念願だった自分の店を出しました。今思うととても無謀でしたね。勢いと、友人や家族の協力があり、なんとか叶いましたが 笑。カフェではイタリアンをベースに色々な料理を出していたのですが、その中である時ハンバーガーを作りはじめたんです。

― その時のハンバーガーはどんなハンバーガーだったのでしょうか?

提供したのは、今「THE GREAT BURGER」で出しているものとほぼ同じです。もちろん何度も試行錯誤しましたけどね。独学で料理をし、製パンの専門知識がなかったので、ぎっしり詰まった重いバンズができてしまって。少しずつ改良を重ねてようやく納得いくものができたので、「ease」の中にショップインショップで、デリバリー可能なハンバーガー屋を作ろうと思いました。その名前が「THE GREAT BURGER」。当時日本にはグルメバーガーの専門店が数店舗できはじめた頃でした。自分も次は何か専門店をやりたいと思っていたので、5年目に2店舗目の新業態として、新たにハンバーガー屋をオープンさせました。でもただのハンバーガー屋ではなく、やはり自分の好きな世界観でやりたかったので、昔から大好きなアメリカンダイナーを意識しました。小学生の頃に「E.T.」や「BACK TO THE FUTURE」等の80年代アメリカ映画にどっぷり影響を受け、アメリカへの憧れがすごかったんですよね。アメカジ大好きですし、実際に行ってみたら余計に惚れ込んでしまって。すっかりのめり込んでしまい、その世界観を店舗で表現しました。

― 先日10周年を迎えたそうですね。

気が付いたら10周年でしたね。昔は憧れていただけのアメリカでしたが、何度も足を運び、リアルな部分も見えてきて、表現も少しずつブラッシュアップできている気がします。何でこんなに惹かれるのかは分からないですが、あり得ない豪快さとかにテンションが上がるんですよ。(嬉しそうに)ゴミ収集車って見たことあります?日本だと、ゴミを収集車の中に手運びしますが、アメリカはロボットのようなアームで持ち上げ、ガチャン!とトラックに入れるんですよ。結構飛び散ってるんですけどね 笑。そういう適当さと豪快さみたいなのも面白くて。歴史が浅い分、発想が自由。それは料理の面でも言えると思います。やはりいつでも自由な発想を持って、エンターテイメントを大切にしたいなと。ちなみに原宿にある僕の家の内装も、大好きなアメリカの世界観を再現して作りました!

― 最近もニューヨークに行かれていましたね。

独立した元スタッフ2人と自分を含め、バーガー屋オーナー4人で行きました。嬉しいですよね。同じ目線で見て、刺激を受ける仲間がいることは。今回は感覚的に収穫がとても多いニューヨークでした。やはりニューヨークは世界中から人が集まっていて、流行っている店の活気は本当にすごい。一日中人で溢れかえっていて。人の集まり方と言うか、活気ある雰囲気に、自分の店も少し近づけてきているという感覚が掴めました。自分の店も、おかげ様で世界中から多くの方にお越し頂き、活気ある店になったので、改めて本場アメリカで似た雰囲気を感じることができたのは、嬉しかったですね。

― 休みの日はどんな生活をしていますか?

一日休みというのは、実はほとんどないんです。出張先で、その延長で少しのんびりすることはありますけどね。そんな生活が嫌だったこともありましたが、今はそれを楽しめるようになりました。休みがないというよりは、遊んでいる感覚で仕事ができているので。とは言え、やっぱりそろそろ休みたいなぁ 笑。

― 楽しんで仕事をしている感じはSNSなどからも分かります。おじさんたちが本気で楽しみながら仕事している感じと言いますか・・・

そうなんです。同世代のおじさんたちで楽しく仕事ができています!

― ご自身の食事に気を使っていることはありますか?

この先何年生きることができるか分かりませんが、限られた人生の中で一回一回の食事はとても大事だと思うんです。納得しながら食べたい。だから気は使っていますね。最近定食屋をオープンしました。コンセプトは、「日本のことが大好きなアメリカ人がやっているちょっと風変わりな定食屋」。地方でのプロデュース業も増えてきて、地元の農家さんなどとの出会いがあり、また新しい食材にも触れ、日本の魅力が客観的に見えてきました。やっぱり自分は日本人ですしね。今取扱っている「ものすごい鯖」という至宝の鯖があるのですが、サスティナブル(持続可能)つまり、計算されて採られているそうです。自分も含め、スタッフの平均年齢も少しずつあがってきて、健康についても考えはじめました。自分たち自身も持続可能性を高めいですし、全てにおいて、そうあるべきだと思っています。だから、定食屋を始めました。

― では、今後の夢は?

今はここ(東京・原宿)に根を張ってやっていますが、アメリカと半々くらいでやっていきたいですね。あとは・・・先ほども話したように休みがないので、キャンプに行ったり、釣りをしたり、自然に触れ合いたいです。キャンピングカーを買いたいと思っていて。せっかく定食屋もできたので、地方を回ってみたいですね。食器、食材、風景・・・日本の素晴らしいものに触れる旅をしたいです。いつできるかな 笑。

近年、日本の素晴らしさを見つめ直す人が増えているが、きっと彼は独自のおもしろい視点で日本を感じ、それをエネルギーに変えてまた仕事に活かすことだろう。憧れ続けたアメリカの熱と、日本人としての誇りを持ち、心地よく波に乗って生きる姿がなんともカッコいい。まだまだ休みなんて見えない、ザ・アメリカンダイナー男の生活から目が離せない。ベイフローファンの皆さん、これからも美味しい新店舗のオープンが続きますよ!

車田篤

愛知県名古屋市出身。2002年、原宿にてカフェ「ease」をオープン。2004年には株式会社LDFSを設立し、2007年に「THE GREAT BURGER」をオープン。以後、リアルなアメリカの空気を感じられるさまざまな飲食店に加え、アパレルブランドやアメリカ雑貨店などもプロデュースしている。2016年にはロサンゼルスに「GOOD TOWN DOUGHNUTS USA」がオープンし、念願のアメリカ進出を果たした。
http://www.the-great-burger.com/